ある日仕事から帰宅すると、語尾に音符のついたそんな陽気な文字が踊る段ボール箱が我が家のテーブルの上にどんと置かれていました。

鮮やかな金色を背景に、角がないラグビーボールのような形をした白黒の本体が描かれたパッケージ。

そう、バリスタです。

突然現れたそれは、たまに衝動買いをする癖がある母が購入したものでした。

たくさんのメーカーが発売しているバリスタ。

我が家にやってきたのは、某メーカーのインスタントコーヒー専用のものでした。

モードを切り替えることで、エスプレッソ・カフェラテ・カフェモカなど様々な種類のコーヒーを作ることができるマシンです。

元々コーヒーは好きですが、豆の種類や挽き方などによる味の違いを楽しめるほど通なわけではありません。

飲めれば問題ないというレベルのこだわりのなさです。

そんな私も、いくらバリスタを使うとはいえ元はインスタントコーヒーでしょ？と疑問を持ちました。

またろくに使わずお蔵入りだろう……そんなことを考えながら半信半疑のまま一杯。

お、おいしい……。

明確にここがこうだからと理由付けすることはできませんが、確かに普段飲んでいるインスタントコーヒーとは味も香りも違いました。

完全に疑いしか持っていなかった私は、早々に白旗を上げることに。

今ではバリスタで淹れたコーヒーを飲むのが休日のささやかな楽しみになっています。

何事にも先入観を持ちすぎてはいけない。

改めてその大切さを知るいい機会になりました。